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【あらすじ】

東京近郊の住宅地。玄関に大きく「貸家」と書かれた紙札が貼られた家がある。その貸家の主人である老人・宍戸第三は、現在空き家となっているこの家を早く誰かに借りてほしいと切望している。7年前に建てたというこの家は、最初の2年間は夫婦で住んだものの、妻が他界してから5年間はずっと人に貸してきたのだ。
ある日、新聞の広告で貸家の情報を見たという一組の夫婦がやってくる。家の中を見せてもらい宍戸の話を聞くうちに、その奇妙な言動に少し不信感を抱くものの、家賃を安くしてもらえるという話になり、翌日からその家に入ることにする。
しかし、次の日になっても一向にその夫婦はやって来ない。諦めかけていた頃、別の夫婦がやってくる。その夫婦は、女子大学に入る妻の妹とともに住むための家を探しているというのだが……。

最近水田を埋め立ててつくられた、東京郊外の新興住宅地。英語教師である今里念吉は妻・二見と発育不良の息子・甲吉と3人で生活をしている。
ある日の午後、近所に住む黒林家の女中ためがやってきて、今里家で飼っている犬のペスが黒林家の主人の靴を銜えていってしまったと言う。続いて、同じく近所に住む片倉州蔵の妻まつのが娘を引き連れやってくる。まつのはペスが片倉家の鶏を噛み殺したと文句を言いに来たのだ。
まつのが去り、念吉と二見がペスの行末を思案しているところ、今度は元新聞記者の百瀬鬼骨が死にかけの鶏を手にやってくる。この鶏もやはりペスに噛み付かれたのだと言う。鬼骨は、鶏に噛み付かないように調教すると言い、ペスを預かり帰っていく。
翌日、ついに死んでしまった鶏を手に鬼骨が再びやってくる。鬼骨はこういったご近所同士の問題を解消するために会合を催そうと言い出すと、乗り気でない今里夫婦をよそに話をつけてくると言い残し帰っていく。
しばらくすると近所の男の子が回状を手にやってくる。そこには、「本日午後七時、今里家の庭園にて、近隣の平和親善を目的とする一夕の会合を催す」と記されていた……。
【作者プロフィール】
岸田國士[KUNIO kishida]
劇作家・小説家・評論家・翻訳家・演出家。
1890年11月2日東京四谷右京町で近衛砲兵連隊付大尉・岸田庄藏の長男として生まれる。
陸軍士官学校を経て少尉に任官、久留米の第48歩兵連隊に配属されるが、文学への思いやみがたく、父の勘当を受けながらも軍籍を離脱。
1917年、28歳で東京帝国大学文科大学に選科生として入学。フランス文学や近代演劇を学ぶ。
1920年、仏領インドシナを経由してパリに遊学、ジャック・コポーが主宰する小劇場ヴィユ・コロンビエ座などに出入りし、当時フランスで盛んになっていた演劇純粋化運動に接していたが、1922年の父の死去により、翌年帰国。
1924年、「演劇新潮」3月号に処女戯曲『古い玩具』を発表し、注目される。
1937年、顧問を務めていた築地座を発展的に解消し、岩田豊雄・久保田万太郎らと文学座を創設。
1954年、文学座公演『どん底』(作・ゴーリキー)の演出に携わっていたが、3月4日舞台稽古に中脳卒中で倒れる。翌日3月5日死去。享年63歳。
代表作は、戯曲『チロルの秋』『牛山ホテル』『紙風船』『沢氏の二人娘』、小説『暖流』など。
長女は詩人・童話作家の岸田衿子、次女は女優の岸田今日子。
1954年に創設された岸田國士演劇賞は、1961年から岸田國士戯曲賞と改められ、新人劇作家の登竜門となっている。
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